砂糖は、「甘くする」以外にも様々な特性があります。
すでに実践されていることも多いかもしれませんが、 砂糖を使う
理由をご説明します。
パンをつくる際には、酵母(イースト)を使います。それは、糖質の発酵によってできる炭酸ガスで生地を膨らませるためです。酵母(イースト)は糖質を栄養にして発酵し、炭酸ガスとアルコールを生成します。この炭酸ガスを小麦粉がとじこめてパンが膨らむのです。
しかし、小麦粉には酵母が利用できる糖質が少ないので、発酵源としては不十分です。そこで、砂糖を加えると酵母の働きが活発になり、それによって発生する炭酸ガスで生地がほどよく膨らみ、ふっくらと仕上がります。また、シャンペンは、まずぶどう果汁を発酵させてぶどう酒を作ってビン詰めにし、さらに二次発酵して発泡性を持たせますが、この時に砂糖を加えると酵母の働きが再び活発になり、炭酸ガスの発生により開封時に快音が出るようになります。
砂糖には、デンプンをしっとりと、やわらかく保つ働きがあります。デンプンは、加熱加工をすると糊化状態になり、それを放置すると粘り気が低くなり、透明度がなくなります。このような変化を老化と呼んでいます。ご飯や餅などを放置すると、次第に粘りを失い固くなってしまいますが、これは老化によるものです。
ところが、糊化状態のデンプンに砂糖を加えると、砂糖の親水性によってデンプン分子のすき間から水を奪い、糊化状態を保つことができます。飴や羊羹、餅菓子、すし飯などが固くならないのは、このためです。砂糖には、ご飯やパン、餅などのデンプン食品をしっとりおいしく保つ働きがあるのです。